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キリンのひとりごと
 

「キリンのひとりごと」はオキナワグラフ(新星出版)にて連載されている法律エッセイです。弁護士法人那覇綜合(旧 宮﨑法律事務所)の所属弁護士が交代で記事を毎月執筆しています。憲法のこと、裁判員裁判のこと、沖縄の地域生活など、時節に合わせたタイムリーなテーマをとりあげながら、暮らしに関わる法律のおはなしを分かりやすく解説します。

 
【キリンのひとりごと Vol.14】 インフルエンザの季節に(野崎聖子)
2011年 11月 10日(木曜日) 00:00

 

オキナワグラフ 2009年11月号掲載

 

 11月に入ると少し肌寒く感じる日がありますね。例年、11月は季節性インフルエンザに関する話題をよく耳にしますが、今年は、季節を問わず、日々、テレビや新聞などに新型インフルエンザに関する情報が溢れています。県内でも、新型インフルエンザの感染拡大が続いており、学校などでの集団発生も少なくないようですね。

私達弁護士はお医者さんではありませんので、インフルエンザ予防や治療についての具体的なアドバイスは難しいのですが、会社の新型インフルエンザ対策について意見を求められたり、従業員がインフルエンザに感染した場合の法的な問題や対処法などについて相談されることは度々あります。
例えば、銀行などの金融機関では、危機管理マニュアルの一環として、社内規程で新型インフルエンザ感染防止策や社員がインフルエンザを発症した場合の対応策や、店舗閉鎖といった業務を縮小する場合の手順などを詳しく定めています。企業の中には、従業員に予防接種や出勤前の検温を義務づけるところもありますし、大企業などでは、従業員のためにワクチンやマスク等を確保するところもあるようです。
また、金融機関のように詳細な規程までは作成しなくても、社内で大まかな行動指針を設けているという会社もあります。具体的には、従業員にマスク・手洗い・うがい等の感染予防策を励行することや、従業員本人がインフルエンザに感染した場合や感染が疑われる場合の出勤停止、出勤停止の期間、従業員の家族が感染した場合の対処法(例えば従業員本人も自宅待機とするか、マスクを常時着用させて出勤させるかなど)、感染者の近くで仕事をしていたことから感染が疑われる濃厚接触者について自宅待機を命ずるかなどについて、予め社内で取り決めておくというところが多いようです。
労務管理の観点からは、社内でインフルエンザ対策について検討し、詳細な内容でなくてもよいので、ある程度の方針を決めておくことをお勧めします。これから年末に向けて何かと慌ただしくなりますので、未だインフルエンザ対策を何ら検討していないという会社はお早めに。
従業員がインフルエンザ感染のため欠勤した場合の賃金について、どのように取り扱うべきか悩まれる会社も少なくありません。
一般的には、感染者が保健所による外出自粛などの協力要請やお医者さんの指導に従って休業する場合、この休業について使用者である会社の「責に帰すべき事由」があるとはいえないため、休んだ分の賃金は発生しませんし、使用者が休業手当を支払う必要もありません。もっとも、実際には、本人の申し出によって休んだ分を病気休暇や年次休暇で処理できるケースも多く、インフルエンザのために欠勤しても実際の給料の金額が変わらないということが多いでしょう。ただ、会社の方針として、保健所からの協力要請やお医者さんの指導の範囲を超えて休業させることを決めた場合には、会社はこれら指導等の範囲を超えた分については休業手当を支払う必要があります。
家族が新型インフルエンザに感染している従業員についても同様で、例えば、濃厚接触者であるとの理由で保健所やお医者さんによる外出自粛の要請または指導がある場合には、休んだ分の賃金や休業手当は発生しません。ただし、使用者である会社の自主的積極的な判断で休業させる場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
宮﨑法律事務所では、毎年、弁護士も含めスタッフ全員にインフルエンザの予防接種が義務付けられており、接種費用は事務所が負担しています。実は注射が苦手な私ですが、受け終わるまでは「予防接種は受けましたか?」と聞かれますし(結構プレッシャーです(笑))、実際に感染する方が「痛い」ので、痛いのを我慢して予防接種を受けています。とても有り難いことです。
インフルエンザに限らず、社会人として、日頃の健康管理は大切ですね。