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キリンのひとりごと
 

「キリンのひとりごと」はオキナワグラフ(新星出版)にて連載されている法律エッセイです。弁護士法人那覇綜合(旧 宮﨑法律事務所)の所属弁護士が交代で記事を毎月執筆しています。憲法のこと、裁判員裁判のこと、沖縄の地域生活など、時節に合わせたタイムリーなテーマをとりあげながら、暮らしに関わる法律のおはなしを分かりやすく解説します。

 
【キリンのひとりごと Vol.12】 台風のおなまえは?(野崎聖子)
2011年 9月 10日(土曜日) 00:00

 

オキナワグラフ 2009年9月号掲載

 

 9月といえば、エイサー、お月見(十五夜)と色々ありますが、台風の季節でもありますね。
 私は生まれも育ちも宮古島ですので、台風経験は豊富です。子供の頃は、台風が近づくと学校がお休みになることを期待しながらテレビの天気予報を見ていたものです。不謹慎ですが、「暴風警報」という4文字は子供には魅力的な言葉でしたので、他の気象用語よりも先に覚えた気がします。
 最近は台風の時の停電は少なくなくなりましたが、台風に停電はつきものでしたね。子供の頃はなぜか夕食の最中に停電になることが多かったのですが、何の前触れもなく家中の電気が突然消え、辺りが一瞬にして暗闇となりますので、しばらくは身動きがとれずに固まってしまいます。
母がローソクの火を灯した後、ようやく普通に呼吸ができるようになったことを覚えています。蛍光灯の明かりに慣らされている現代人にはローソクの灯りはとても心許ないものですが、ローソクの灯りを頼りに家族が居間に集い、ゆっくりと語り合う、それなりに心地よい時間でした。
 
 台風といえば、その一つ一つに名前がついていますね。
 日本では、気象庁が、毎年1月1日を基準に台風が発生する順番に従って台風番号をつけており、「台風第●号」といった呼び方が一般的ですが、世界では、あらかじめ台風名リストが用意されていて、台風が発生するたびにその台風名リストの中から名前を付ける方法が多数派のようです。
 アメリカ合衆国で台風に女性の名前がつけられていたことはよく知られています。本土復帰前の沖縄でも台風には米国風の女性の名前がつけられており、宮古島に大きな被害をもたらした「サラ台風」や「コラ台風」は有名ですよね。ちなみに、いずれの台風時にも私はまだ生まれていません。念のため。1979年からは、台風に女性の名前をつけることは性差別につながるなどとして、男女の名前を交互に付ける方法に改められているそうです。
 最近は、台風の「アジア名」を耳にする機会も増えてきました。台風のアジア名とは、日本を含むアジア・太平洋の14カ国等の気象機関が加盟する台風委員会が決定した台風名リストに従ってつけられた台風の名前のことです。2000年(平成12年)から台風にアジア名がつけられるようになりました。例えば、2003年9月に韓国南部に大被害をもたらした台風のアジア名は「マエミー」ですが、この名前は北朝鮮の命名で「セミ」を意味するそうです。
 アジア名のリストには、加盟国が提案した140個の台風名が挙げられていますが、動物名、植物名、人名、自然現象を表す言葉などを中心に、とてもユニークな名前が並んでいます。リストの1番目に挙げられている名前は「象」を意味する「ダムレイ」。命名国はカンボジアです。個人的に興味深かったのは、「ケーミー(意味:あり、命名国:韓国)」、「ウーコン(意味:悟空、命名国:中国)」、「バビンカ(意味:プリン、命名地:マカオ)」、「ターファー(意味:なまず、命名国:マレーシア)」、「ソンカー(意味:さえずる鳥、命名国:ベトナム)」、「ノグリー(意味:たぬき、命名国:韓国)などでした。バラやたんぽぽ、ハイビスカスなど、花を意味する名前も結構目につきましたよ。命名の理由はいろいろあるでしょうけど、『台風』には似つかわしくない名前だと感じませんか。ちなみに、日本の気象庁は、「テンビン」、「ウサギ」、「ヤギ」など、星座の名前を提案しています。
 気象庁のHPによれば台風の年間発生数の平均は26.7個ですので、概ね5年で台風の名前が一巡することになるそうです。ただ、大きな災害をもたらした台風などは、その名前を以後の台風には使用しないように引退させて、リストの名前を変更することもあるようですよ。
 子供の頃は、台風が過ぎ去った後に父の運転する車で島内を勝手にパトロールすることが楽しみでした。大木がなぎ倒されたままになっていたり、畑に洗濯機が転がっていたりしていて、台風の脅威を目の当たりにしました。
 自戒を込めて「備えあれば憂いなし」。台風対策は怠らずに。
以 上